2018年2月定例会

2月6日(火)13:00-15:00,融合棟1号館4F会議室にてビッグデータプロジェクト定例会を開催します.

【前半】

講演者:熊本大学  櫻井保志先生

タイトル:時系列ビッグデータのリアルタイム解析:新技術と挑戦

1999年にNTTからの社会人学生として奈良先端科学技術大学院大学 の博士後期課程を修了し、2013年にはNTT研究所から熊本大学に 移り、現在に至っております。私たちが行っているビッグデータ解析 の研究に関しましては、国際的な学術活動としてSIGMOD、KDD、WWW などのトップ国際会議で継続的に研究発表をし、そしてKDDのBest Research Paper Award(2008年と2010年)、SIGMOD2015、 WWW2016、KDD2017でのチュートリアル講演(3時間)は日本人グルー プとしては初めて、唯一の受賞、採択となっています。ただ、私たち の考えとしましては、研究活動というものは論文や学会発表だけでは 不十分だと常々感じておりまして、より実用的で高度な技術を開発し、 社会で使っていただくために、産学連携を積極的に行っております。 これまでトヨタIT開発センター、富士通研究所と共同研究を行い、 さらに昨年からは三菱重工エンジン&ターボチャージャ、トヨタ自動 車、SONY、ソニーセミコンダクター、日立製作所とも共同研究を開始 しております。私たちの産学連携は、社会、特に日本の社会を技術開 発によって変革したい、そういう考えで取り組んでいます。例えば、 継続的に共同研究を実施しているトヨタIT開発センターの方々とは、 革新的な自動車サービスを世界に向けて日本から出したいと、目標を 一つにして取り組んでいます。SONY、三菱重工の方々とも、スマート 工場に関連して、志を共にして技術やサービスを開発しているところ です。有力な数々の企業と協調しながら、ビッグデータ解析に関する 世界のデファクトスタンダードとも呼ぶべき技術を開発することを念 頭に、先駆的な技術開発に取り組んでいます。本講演では、技術的な 内容のみならず、このような産学連携の取り組みについてもお話しし たいと思います。大学院修了から20年ほどが経ち、お世話になった 先生方、そしてこれからご活躍なさるであろう学生のみなさまとお会 いするのを大変楽しみにしております。

【後半】

講演者:バイオサイエンス研究科 植物免疫学研究室 晝間敬先生

タイトル:共生微生物群による植物生長促進機構の解明に向けて

植物と共生する微生物群は、ストレス条件下の植物の生長を助ける等、植物の生存戦略に欠かすことができない役割を担っている。しかしながら、共生微生物群を活用して植物生産の増大・安定化を図るためには、微生物群が「共生効果」を発揮するメカニズムに関する理解が不可欠であり、そのためにも多彩な微生物の集合体としての機能を評価する適切な実験系の確立が望まれる。私は、糸状菌Colletotrichum tofieldiae (Ct)がリンなどの栄養枯渇条件でモデル植物シロイヌナズナなどのアブラナ科植物の根に感染し、土壌中のリンを植物へ供給することで植物生長を促すことをこれまでに発見している(Hiruma et al., Cell 2016)。 今回、新たに、Ctによる植物生長促進効果(共生効果)が根圏に存在する他の微生物群によってさらに強化されることを示唆する結果を得た。この結果は、根圏に存在するCtのパートナーとなる微生物群を活用することで特定の共生菌の機能を強化・安定化できる可能性を示唆しており、その仕組みの解明は、野外で共生微生物群を制御し効果的に活用していくための技術の開発に向けて必要な一歩であると考えられる。 本発表では、次世代シークンサー解析から得られた16S(細菌)とITS(糸状菌)のメタシークエンス情報によって、共生効果が発揮された際にCtとともに植物根圏に存在する微生物群を絞り込み、活用することで人工的に共生効果を再構築する試みについて紹介する。また、同種でありながら対照的な植物感染様式を示すことを見出したCt株間の比較ゲノム解析の結果の一部を紹介したい。